頭痛
頭痛

頭痛は誰にでも起こる症状ですが、日常生活に支障が出ている場合には適切な診断と治療が重要です
次のような症状がある方はご相談ください
多くの場合、適切な治療によって改善が期待できます
頭痛は大きく「一次性頭痛(原因となる病変がない頭痛)」と「二次性頭痛(病気が原因の頭痛)」に分かれます。一次性頭痛には片頭痛、緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)、群発頭痛などが含まれます。それぞれ治療法が異なるため、正確な診断が重要です。
本人の約840万人が悩む神経疾患です。20〜40代の女性に特に多く、男性の約3.6倍の有病率とされています。放置すると慢性化するリスクがあり、適切な治療で発作の頻度・強さを大幅に改善できます。
症状の特徴
頭痛の前に視界がキラキラする(閃輝暗点)・視野が欠ける・手足がしびれる、などの症状が起こることがあります(前兆のある片頭痛)。
頭痛の中で最も頻度が高く、後頭部から肩・首にかけての筋緊張に関連します。
症状の特徴
目の奥・こめかみを中心に「えぐられるような」激痛が1〜3時間続き、一定期間(群発期)に毎日出現します。男性に多く、鎮痛薬が効きにくい特徴があります。トリプタン系薬や予防薬による専門的な治療が必要です。
鎮痛薬を月15日以上、トリプタン系薬を月10日以上使用し続けると、薬が頭痛を慢性化させる「薬物乱用頭痛(Medication Overuse Headache)」に移行しやすいと言われています。市販薬で対処し続けている方は特にご注意ください。
こんなサインがあれば受診を
脳出血、くも膜下出血、椎骨動脈解離、髄膜炎など緊急対応が必要な病気が隠れていることがあります
以下に当てはまる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
頭痛は「単なる体質」ではなく、神経疾患として治療できる病気です。発症のメカニズムには**CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)**と呼ばれる神経伝達物質が深く関与しています。
三叉神経が何らかの刺激を受けると、CGRPが大量に放出されます。CGRPは血管を拡張させ、周囲の組織に炎症を引き起こすことで、あの激しい拍動性の痛みをもたらします。
片頭痛の引き金(トリガー)として知られるものには以下があります。
頭痛治療は「我慢するもの」から「コントロールするもの」へ、大きく変わっています。近年、急性期治療薬としては従来のトリプタン系薬に加え、ジタン系・ゲパント系という新しい系統の薬剤が、予防薬としてはCGRP関連抗体製剤(注射)・ゲパント系が登場し、患者さんの選択肢が広がっています。
頭痛の種類と重症度に応じて、最適な薬剤を選択します。
① NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) イブプロフェン・ロキソプロフェンなど。比較的軽度の頭痛に使用します。
② トリプタン系薬(片頭痛急性期治療の標準薬) スマトリプタン・ゾルミトリプタン・リザトリプタン・エレトリプタンなど複数の種類があります。「市販薬では効かない」という方でも効果が出やすい薬剤です。血管収縮作用があるため、心血管疾患のある方には使いにくい場合があります。
③ レイボー錠(ラスミジタン)【ジタン系・世界初の選択的セロトニン1F受容体作動薬】 詳しくは後述の「最新治療薬」セクションをご覧ください。
④ ナルティーク OD錠75mg(リメゲパント)【ゲパント系・急性期治療と予防の両用】 詳しくは後述の「最新治療薬」セクションをご覧ください。
月に数日以上頭痛があり、日常生活に支障が出ている方には予防治療をお勧めします。
従来の予防内服薬(毎日服用)
これらは毎日服用する薬で、効果の評価には2〜3ヶ月程度かかります。
CGRP関連抗体製剤(注射)・ゲパント系薬(内服)による予防 詳しくは後述の「最新治療薬」セクションをご覧ください。
近年、CGRPを介した新しい作用機序を持つ薬剤が相次いで登場しています。注射薬(CGRP関連抗体製剤)と経口薬(ジタン系・ゲパント系)の大きく3つのカテゴリーがあり、患者さんの状況に合わせて選択・組み合わせが可能です。
月1回または3ヶ月に1回の皮下注射で、片頭痛発作を予防します。従来の予防薬で十分な効果が得られなかった方に特に有効で、約60%の方が頭痛頻度の半減を実感しています。
| 薬剤名 | 一般名 | 投与間隔 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| エムガルティ | ガルカネズマブ | 月1回 | 国内初のCGRP関連抗体製剤 |
| アジョビ | フレマネズマブ | 月1回 または 3ヶ月1回 | 3ヶ月製剤で通院回数を減らせる |
| アイモビーグ | エレヌマブ | 月1回 | CGRP受容体を直接ブロック |
保険適用の条件 片頭痛発作が月4日以上あり、既存の予防内服薬で効果が不十分な方などが対象です
費用の目安(保険適用)3割負担で1回あたり約10,000〜15,000円程度
2022年6月に日本で発売された、トリプタン系とは異なる全く新しい作用機序を持つ急性期治療薬です。「ジタン系」と呼ばれる新しい系統の薬で、トリプタン系が効かなかった方や、心血管疾患でトリプタンを使えなかった方に新たな選択肢を提供します。
レイボーの特徴
セロトニン5-HT1F受容体に選択的に作用し、三叉神経からのCGRPなど痛みに関わる神経伝達物質の放出を抑制します。トリプタン系薬が作用する5-HT1B受容体(血管収縮に関与)にはほとんど作用しないため、血管収縮作用がなく、心臓・脳血管疾患のある方や、そのリスクが高い方でも使用しやすい薬剤です。
レイボーが特に向いている方
費用の目安(保険適用) 薬価は50mg錠:1錠約325円、100mg錠:1錠約571円。月2〜4回の発作があっても数千円程度で済むことが多いです。
2025年12月に発売された、急性期治療と発症抑制の両方に使用できる経口薬です。CGRP受容体を直接ブロックする「ゲパント系」と呼ばれる種類の薬です。
ナルティークの特徴
発作時に飲んでも、隔日服用することで予防としても使えます。ただし発売間もない薬のため、長期的な使用経験は積み重ねられている段階です。トリプタン系薬や注射を希望されない方、また注射剤と組み合わせて発作時の頓服を強化したい方などに選択肢の一つとしてご相談できます。
使い方(2通り)
| 目的 | 飲み方 | 備考 |
|---|---|---|
| 急性期治療(発作時) | 頭痛発作時に75mgを1回服用 | 1日1回まで |
| 発症抑制(予防) | 75mgを隔日(1日おき)で服用 | 効果の評価は約3ヶ月後 |
費用の目安(保険適用) 薬価は1錠約2,923円(2025年11月時点)。発売から約1年間は1回の処方で14日分までの処方制限があります。
症状・経過・問診の内容から必要性を判断します。「突然の激しい頭痛」「今まで経験したことのない頭痛」「麻痺・しびれを伴う」など二次性頭痛を疑う場合には積極的に検査をお勧めします。MRI検査は連携施設でスムーズに対応できます。
完全な根治は難しい場合がありますが、適切な治療で発作の頻度・強さを大幅に減らし、日常生活への影響を最小化することが十分に可能です。「コントロールできる病気」として向き合いましょう。
月15日以上の使用が続くと、薬物乱用頭痛(MOH)に移行するリスクがあります。「薬が手放せない」と感じている方は早めのご受診をお勧めします。
トリプタンは血管収縮作用を持つため、心臓・脳血管疾患のある方には使いにくい薬です。レイボー(ラスミジタン)は血管収縮作用がなく、こうした方でも使用しやすい薬剤です。
めまい・傾眠などの中枢神経症状があらわれることがあるため、服用後は自動車の運転等は避けてください。
CGRP注射(抗体製剤)は月1回の皮下注射による予防専用の治療です。ナルティークは内服薬で、発作時の急性期治療と隔日服用による予防の両方に使えます。注射が苦手な方や、1種類の薬でシンプルに管理したい方の選択肢の一つです。
保険適用の場合、3割負担の方で1回あたり約10,000〜15,000円程度(薬剤により異なります)。月1回の投与が多いため、月1〜2万円前後が目安です。
紹介状なしでもご受診いただけます。初診の方はWEB予約をご活用いただくとスムーズです。
慢性的に繰り返す頭痛には、脳神経外科・脳神経内科の頭痛外来への受診をお勧めします。頭痛の種類を正確に診断し、根本的な治療計画を立てることができます。